2022年1月某日。大田区蒲田と並び、東京のとんかつ激戦区である高田馬場、とある有名店で上ロースカツ定食を食べました。流行りの肉が少しピンクかがった状態で提供された豚肉のリブロースは脂身があまく、柔らかいが肉感の繊維感も十分に感じる。衣は非常に薄くしっかりと豚肉についていてサクサクっとした食感を味わえた。テーブルにはソースの他、塩&オリーブオイルがあり赤身部分は塩、脂部分はソースが良く合いますし、千切りされたキャベツも甘くて美味しい!と、想像するだけでまた食べたくなってしまいますね。実は、このように職人さんが最高の状態で揚げたとんかつが近い将来食べられなくなる、なんてことがあるかもしれないのです。
理由は世界的な供給不足から穀物が高騰しているためです。背景には地球温暖化による気候環境の変化があります。また、SDG’sへの対応によりクリーンエネルギーの需要が高まりで穀物がバイオ燃料へ使用されています。
とんかつはご存じの通り小麦、澱粉、大豆等が使用されています。豚肉もまた穀物を飼料にしていますし、家畜の飼育は気候変動と飲料水の枯渇を加速させています。
今日と同じ消費モデルを維持してより多くの人々を養うためには今から2050年までに世界の食料生産量を70%引き上げなくてはならず、これを達成することは地球環境からすれば難しいことになるわけです。
世界では最近肉のタンパク質代替としてプラントベースの食品が注目されてきています。日本ではダイエット目的に購入され方も少なくないですが、2050年には世界人口の少なくても30%の人は自らの意思によって、あるいは仕方なく菜食主義者になるとも言われています。食品会社は菜食主義を示唆する食品を商品化して市場シェアを確保しようとしています。現在多くの企業がプラントミート事業に投資をしていく動きは、そうした文脈から理解する必要があるでしょう。
しかしどんなにプラントベースがおいしくなっても、とんかつを食べたい!という誘惑には負けてしまいそうです。我々メーカーはこれからも食べたいものが食べられるよう使用する原料の供給が持続可能な環境作りを、SDG’sの活動を通して実現できるように微力ながら貢献していきたいと思います。
By AIB